カイジ2~人生奪回ゲーム~

福本伸行原作のコミックの映画化第2作目だ。スタッフは1作目と同じで、主演のカイジも藤原竜也、ライバルに伊勢谷友介、ほかに吉高由里子・生瀬勝久・香川照之が出演している。規制緩和による競争社会になり、貧富の差が広がっている。一旦負け組に落ちたら勝ち組に上がるのは至難だ。その厳しさを極端な物語にしたのが、この映画の核だと思う。確かに沼と呼ばれる一玉数万円というモンスターマシンで勝利すると10億円を獲得できる設定がすごい。マシンへのこだわりもいい。でもオーバーな演出が浮いてきて現実離れしていた。チンチロリン、姫と奴隷、人喰沼のゲームと登場人物が絡み合っているとよかったと思う。

原作者は脚本に関与してはいけないと思う。おそらく原作者の思い通りの物語の展開にしたので、こういう内容になったのだろう。意図していることはよく伝わってくる。説明的なセリフをさけて、悪いやつはとことん救いようのない方がいい。仲間を大切にするのは伊藤カイジ(藤原竜也)と坂崎(生瀬勝久)だけにして、吉田裕美(吉高由里子)も利根川(香川照之)もひねくれた人物にするとか考えなかったのか。上映時間が2時間を簡単に越えるほど、物語も映像の描写も濃密ではない。場面ごとの時間が長いので、テンポが悪いのだ。

吉田裕美を勝つ確率の高い方に賭ける考えの持ち主だとするのは、容易に想像ができてしまう。カイジ、坂崎、利根川が騙されている振りをしているのなら、所々に付せんを配置しておくべきだった。帝愛グループのカジノの支配人・一条聖也(伊勢谷友介)の目を欺く方法の種明かしは、セリフの説明でなくてカイジや坂崎たちの行動で描いて欲しかった。また、ストーリーの展開も時間軸をなどるのではなくて、過去にさかのぼるとか工夫してもよかった。

数ヶ月前に映画館で配っていた本作品の漫画版小冊子を見た印象は、まず裏カジノにたどり着くまでが簡単ではない。おどろおどろしい路地に入っていって、何箇所か回ったはずだ。そして、モンスターマシン・人喰沼はカジノの最深部にあって、カイジはルーレットやスロットマシンなどで試してもよかった。

舞台ではオーバーなセリフ回しが光る藤原竜也なんだけど、スクリーンの大画面で見ると怖い。人喰沼の玉が円盤の上を落ちていく仕組みはなかなかいい。3個の円盤の傾きやビル自体の構造までこだわった仕組みは、おもしろかった。チンチロリンでデータをしっかり記録していたのだから、最後までその延長線でいけばよかったと思う。

賭け事が嫌いなとらごろさんには、地道にコツコツやるのがあっている。ゴロゴロ。



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