ブラック・スキャンダル

ボストンの新聞記者が書いた原作をジョニー・デップ主演で映画化した犯罪ドラマだ。非常にダークな世界です。見ていて暗くなるというか、人間の弱みにつけこんで人の心を支配する天才的な犯罪者をジョニー・デップが熱演している。海賊とは全くの別人なのは当然として、ギャングのボスになりきっている凄みが感じられる。彼に巻き込まれる兄弟や幼なじみも一旦関係を持ったら抜け出せない泥沼にはまっていく。楽しい映画ではないけど、組織犯罪の恐怖を感じた。

FBIのジョン・コノリー(ジョエル・エドガートン)は故郷のボストンに赴任する。ボストンには幼なじみのアイルランド系ギャングのジェームズ・”ホワイティ”・バルジャー(ジョニー・デップ)が街の南部にいた。その兄のビリー(ベネディクト・カンバーバッチ)は州の上院議員になっている。1975年のことだ。ジョン・コノリーは手柄をあげようとボストンで問題になっていたイタリア系マフィアに狙いを定め、ジェームズに情報提供を申し出る。最初は断られるが、しぶしぶ引き受ける。

街の南部のチンピラくらいの格だったホワイティはFBIに情報提供をする代わりに、自分たちのやっていることに目を向けないようにしてもらう。FBIが最初は利用していると思っていたのが、徐々にその立場が逆転していく。イタリア系マフィアを一掃してからは、ボストン全体を牛耳るボスになってしまう。そして、フロリダまで勢力を伸ばしていく。

そのやり方が情け容赦ない。自分の子供が学校でいじめられたのでやり返したら、先生に怒られたと伝える。それに対して、父であるホワイティは「人の見ていないところでやり返せ」と大人の流儀を教える。子供がそんなことをしたら末恐ろしいけど、父はそれを実践している。自分の意に沿わない者は情け容赦なく自分の手で殺す。人気のない郊外にドライブして、裏切った人間をボコボコに殴りそこに置き去りにする。

組織を裏切って垂れ込んだら、証人保護プログラムで保護されない限り殺される。もはや、忠誠心は恐怖で成り立っている。その恐怖が消滅した時に、部下たちはFBIの証言者になっていく。最後まで裏切らなかった者は重い刑に服することになる。それでも、上院議員の弟は大学の総長までうまく世渡りして引退している。ホワイティ自身は世界各地を15年間も逃亡する。その悪ぶりは超一流だ。このジョニデの演技を見られただけで満足だ。星4個。

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