ヘイトフル・エイト

クエンティン・タランティーノ監督の8作目の作品。南北戦争後西部の山奥で大雪にあい避難したロッジで繰り広げられるミステリーだ。前半にしっかりと伏線がまかれて、後半に綺麗に回収されるという映画の定石どおりの展開だ。バイオレンスでブラックジョークが満載で、タランティーノ監督の手際のよさを感じた。小道具や登場する様子、南北戦争の虐殺事件、無法地帯から法の支配に変わる西部の時代の変化など見どころがいっぱいある。丁寧にロッジに先に到着した集団の行動を解説するシーンも入っていて、わかりやすい映画だった。

ワイオミング州は西部の中でもカナダに近く、イエローストーン国立公園もある。南北戦争後のその地は、全く戦争とは関係ない場所だ。リンカーン大統領はもう暗殺されており、この映画に登場するような無法者が流れ着いていたのだと思う。街と街をつなぐ交通手段は駅馬車しかない。猛吹雪が迫り、その駅馬車をチャーターしているのが賞金稼ぎのジョン・ルース(カート・ラッセル)だ。手錠をはめられているのは1万ドルの賞金首のデイジー・ドメルグ(ジェニファー・ジェイソン・リー)だ。その前に、お尋ね者3名の死体と賞金稼ぎマーキス・ウォーレン(サミュエル・L・ジャクソン)が立ちはだかる。

3つの死体とマーキスを乗せた駅馬車が、レッドロックの新任保安官だというクリス・マニックス(ウォルトン・ゴギンズ)を拾う。レッドロックの街には行けないので、ミニ-の紳士洋服店に泊まることになる。ところが、中には女性店主のミニ-はいなくて留守を任されたメキシコ人ボブ(デミアン・ピチル)がいた。そして、絞首刑執行人のオズワルド(ティム・ロス)、カウボーイのジョー・ゲージ(マイケル・マドセン)、南部の元将軍のサンディ・スミザーズ(ブルース・ダーン)がいた。これで8人になる。

銃を確保しているジョン・ルースは、マーキス・ウォーレンを味方にして得体の知れない滞在者の正体を探っていく。それぞれがなぜここにいるのかを調べていくけど、誰も胡散臭い。ところが、南部の元将軍をマーキスが北軍にいる時に対戦した相手とわかる。さらに、元将軍の息子がマーキスを殺すために集団で襲撃したが、返り討ちにしたと答える。さらに、マーキスは元将軍を挑発するように息子を殺したと言う。その直後から撃ち合いが始まる。

絞首刑執行人が「自分が法律の元に絞首刑を行えば法の支配下にあるけど、復讐で行えばその範囲外」という意味のことを言っている。これが最後の結末につながっている。リンカーン大統領の手紙はどうも本物らしい(リンカーンは実際に多くの国民に手紙を書いている)。北部の元騎兵隊少佐であるマーキスはそれをお守りにしていたのだろう。将軍の息子を返り討ちにした方法も父親を怒らせる作り話だ。マーキスは床に落ちていた飴で何があったのか察知していた。これは、もう何回か見ないといけないかな。星5個。

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