レヴェナント: 蘇えりし者

結構早く見たけど、なかなか記事が書けなかった。1823年というまだ開拓時代が本格的に始まる前、事実を元にして作られた復讐の物語だ。レオナルド・ディカプリオが念願のアカデミー賞主演男優賞を獲得した。「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が監督賞、撮影賞も獲得している。厳しい極寒の大地でロケーションしたサバイバル劇は人間の存在の小ささと、主人公の壮絶な復讐への執念を浮かび上がらせる。満点の出来栄えだと思う。

何もない雪しか見えない真っ白な大地に、黒い点が現れる。それが、ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)だとわかるまでに相当の時間がかかっている。カメラをものすごく遠くに配置して長回しで撮影しているのがわかる。ひげについた氷は極限の寒さであることを実感させる。こんな厳しい世界でよく人間が生きていけるものだと思う。ましてやハイイログマに襲われて重傷を負い、生き埋めにされても這い出して生き延びるのだからたくましすぎる。

狩猟の旅を続けている一団のガイドは、先住民との間に子供ホーク(フォレスト・グッドラック)を持つグラスだ。クマやバッファローなどの毛皮を大量に持っていくハンター集団は、先住民から見ると略奪者だ。当然毛皮を取り戻すために襲撃してくる。うっそうとした森の中で襲われた白人たちは逃げるしかない。舟で逃げた先でハイイログマに襲われたグラスは瀕死の重傷をおい、フィッツジュラルド(トム・ハーディ)が看取り役として残される。

フィッツジェラルド、グラス、ホークとプリジャー(ウィル・ポーター)が残ることになる。ホークとプリジャーはまだ子供であるので、何か頼りない。案の定フィッツジェラルドが重傷のグラスを穴の中に置き去りにして土を上に乗せて、立ち去ることにする。抵抗したホークを殺して、プリジャーを脅して丁重に埋葬したことにする。一部始終を見ていたグラスは奇跡的に生きていた。そこからの生き延びる方法がすさまじい。開いた傷跡に炎を当てて消毒したり、偶然出会った先住民と巡りあって命を助けられる。もうこの展開は神様の思し召しとしか思えないくらいの幸運だ。

砦までたどり着いても、フィッツジェラルドに復讐するのはなかなか難しい。何しろ自分は重傷の身であり。普通なら動けないくらいだ。亡き妻の亡霊が度々登場するけど、ディカプリオ演じるグラスも生死の堺を行ったり来たりしているみたいだ。秩序も何もないフロンティアの大地では何が正義で悪かなど決められない。もはやそこにあるのは、大自然たる神と自分がどうしたいのかという意志だけだ。復讐すれば息子がかえってくるわけではない。ラストの二人の戦いでは二人共この世にはいないような描き方だった。見応え充分の星5個。

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