ちはやふる ー下の句ー

ちはやふる


上の句の一ヶ月後の公開なのだけど、自分は下の句を見る直前で連続して見た。高校競技かるたの部活動を描いた末次由紀の漫画を映画化した後編だ。同じ高校の部活メンバー内の葛藤だけでなく、主人公の片思いの幼なじみやライバルの出現で色々な波乱が起きる。登場人物それぞれの個性が豊かに描かれており、挫折する設定がいい。簡単に成功しては面白くない。千早がチームの和を乱すこともあるけど、最後には全員一丸となるのだ。素晴らしい作品になった。

創部一年目、たぶん準備期間は半年くらいしかない。それで、東京都大会を優勝する。全国大会はその数カ月後だろう。そこで、勝利できるほど現実は甘くないと思う。ところが、脚本がうまくできていて違和感なく見ることができた。千早(広瀬すず)、太一(野村周平)、呉服屋の娘(上白石萌音)、国まんくん(矢本悠馬)、机くん(森永悠希)の5名が瑞沢高校のかるた部だ。

名人だった祖父を亡くした新(真剣佑)は心の拠り所をなくして、かるたをやめると言い出す。福井にいる友人が気になって、千早と太一はわざわざ会いに行く。全国大会を目指す大事な時期に、いくら親友だからといって自分たちのことを放り出してしまうのだ。千早はかるたのクイーンである若宮詩暢(松岡茉優)のことを気になって仕方がない。

見どころはやっぱり競技かるたのアクションシーンだ。見たことがないからだろうけど、映画にするとダイナミックに見えるのだ。若宮の私服が子供っぽいところや、千早の持っていたタオルが原宿限定品と知って欲しくなるのも笑えた。Perfumeの「FLASH」という主題歌もよかった。

なぜかるたをやるのかという疑問をわからない間は、自分をしっかりとコントロールして試合に臨めない。また、団体戦があるので、それはチームプレーも必要とされる。千早も、太一も、新も、若宮もそれを自分のものしていないと思う。近江神宮までたどり着くチームは、もっとしっかりとまとまっているはずだ。

バラバラになりそうな瑞沢高校のかるた部が一つにまとまる段階は爽快感があった。そして、千早のスイッチが入るルーティン(左耳の上の髪をなであげて、目を大きく開ける)もしっかりと見ることができた。若宮の華麗な札取りや、孤高ぶりもさまになっていた。簡単に勝利しては面白くない。むしろ負けることで彼らには上を目指す意欲が生まれていると思う。

続編の製作が決定したらしいので、突っ込みどころを少なくした物語にしてほしい。下の句だけでは星3個。上下あわせて星4個。

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