64ーロクヨンー後編

たぶん前編を見ていないとこの後編は理解できないだろう。横山秀夫の原作と脚本が同じ内容なのかわからない。前編が膨大な情報量で圧倒された観客は、後編であまりの変化球ぶりに驚いてしまうだろう。昭和64年に起こった誘拐事件には警察の隠蔽体質があったことがわかっている。それを解明しながら、平成14年の模倣した事件も解決するのを期待していた。できれば最新の技術を使って綿密な捜査を貫く人間が出てきて、警察の闇を白日の元にさらしてほしかった。

ところが、後編では64の関係者が誘拐の復讐劇を実行に移す展開になっていた。捜査本部の役割は64の機密事項がマスコミにばれないようにするのが優先事項のようだ。平成の誘拐事件の犯人を捜査本部はわかっていたから、何も知らない捜査二課長を広報担当にしたのだろう。その不条理さを表現するために、マスコミ各社は怒りまくっている。

そんなバカバカしい捜査本部の実情を理解した三上(佐藤浩市)は、移動捜査の指揮車両のトラックに無理やり乗り込んでいく。なぜ三浦友和演じる責任者が三上の同乗を許したのか、それはもう隠せないと感じていたからか。広報担当者が捜査本部の指揮車両に乗ってしまったところから、この捜査が何を目的にしているかわからなくなった。

後編で多く登場する人物は、64の被害者の父、刑事部長と捜査一課長、警務部長、それと64の犯人だろうと推測される人間だ。その他は広報の関係者だけだ。これでは、世界観の広がりが見られない。

三上は単独で行動できている。それを許したのは誰なのか。観客は何も説明を受けないまま、新聞の紙面で結果を知ることになる。こういう表現方法もあるのかもしれないけど、不親切だと思った。星3個。

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