ジャングル・ブック

ラドヤード・キプリング原作の古典をアニメ化したディズニーが、実写映画化した作品だ。わてはアニメ版を知らない。主人公のモーグリ(ニール・セティ)以外の動物は全部CGだというのだから驚いてしまう。本物のような迫力があった。日本語吹き替え版を見たけど違和感はなく、特にニシキヘビの朴口美がうまかった。人間はモーグリだけしか登場しないけど、他の動物が欲望にまみれていて人間的だった。そもそも権力闘争を異種間でする動物はいない。

ジャングルに一人残された人間の赤ん坊モーグリは、黒ヒョウのパギーラに拾われて母オオカミのラクシャに育てられる。オオカミの赤ん坊といっしょに育てられたので、会話をすることもできる。一人で歩くことができるようになると、オオカミの兄弟たちと競争をしたりする。ところが、人間と戦ったことがある虎のシア・カーンがモーグリのことを目の敵にする。そして、オオカミのリーダーを実力で排除してモーグリを渡せと要求する。

仲間が危険にさらされることを避けるために、モーグリはジャングルを出る決意をする。パギーラに同行してもらって、人間のいる村を目指す。でも、途中でニシキヘビのかーに出会って催眠術をかけられて食べられそうになる。そこをクマのバルーに救われて、蜂蜜取りの手伝いをさせられる。このクマが実に面白い。蜂蜜が大好きで、くまのプーさんのモデルになった存在らしい。

次に出会うのは巨大なオラウータンのキング・ルーイだ。人間の古代遺跡に猿たちを従えて帝国を作っていて、人間の使う火を手に入れようとする。それには、人間であるモーグリを手先にして火を持ってこさせる必要がある。その考え方は、人間の支配欲そのものでおぞましいものだ。キング・ルーイは巨大な身体のわりに動きが俊敏でびっくりした。なんとか逃げ出したモーグリは人間の村まで行って火を持って帰るけど、森が火事になってしまう。

火を使えばジャングルを支配できるというのは的を得ているけど、反面危険なこともある。まるで人間の使う銃みたいである。この映画は子供向けではあるけど、大人が見ても充分に楽しめる内容になっている。なぜなら、ここで登場する動物が人間的だからだ。原作者のキプリングはノーベル文学賞の受賞者だという。実は深い映画なのだ。星4個。

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