ボクの妻と結婚してください

樋口卓治の同名小説を織田裕二主演で映画化した作品だ。膵臓がんで半年の余命宣告を受けた放送作家が、妻のために再婚相手を探す企画を思いついて実行に移す物語だ。自分が生きているうちに妻のために再婚相手を探すのだけど、自分のことしか考えていないように見えてしまった。最初は愛する妻が一人で息子を育てるのが寂しいだとうという気持ちからやっていると感情移入した。ところが、だんだん変な設定だと思えてきたのだ。

冒頭のシーンではスイカの皮を薄くむいて、真っ赤な果実だけにしてまるごと食べるという企画をテレビ番組でやっていた。それを思いついたのが、放送作家の三村修治(織田裕二)である。誰も思いつかないようなことを真面目にやって、それがどうなるのか見たいという考えだ。お腹の異常に気がついて医者に行くと、膵臓がんで手術は無意味だと言われる。余命は6ヶ月だともいう。まだ、見た目ではどこも悪くないみたいなのにびっくりしたのだ。

普通の父親なら、家族のためにどうすればいいか考える。自分の命よりも、家族の幸せを考える。この放送作家の変わった点は、妻が未来も幸せに暮らせるように再婚相手を見つけてやろうと結婚相談所に駆け込むのだ。それも、テレビ番組の企画のような感じが少し漂うようなことだ。知り合いの結婚相談所の所長知多かおり(高島礼子)に頼み込み、強引に相手を探し始める。

それで見つかったのが、インテリアデザインの会社を経営する伊東正蔵(原田泰造)だった。性格はいいし、収入もある理想の相手だった。最初は紹介した三村彩子(吉田羊)を気に入るけど、すぐに三村の妻だということがバレて断られる。このあたりで、この夫は妻が、夫を死別する悲しみについてあまり考えていないのではないかと思ってしまった。

いくら理解のある妻でも、夫のわがままにそこまで付き合うだろうか。亡くなっていく者は残される家族のことを考えるべきではないか。喪失感は時間が解決してくれるものであって、代わりのものを見つければ埋め合わせができるとは思わない。自分も父をガンで亡くしているけど、そんな単純に割り切れないのだ。星2個。

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