もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を見た。
NHK総合で放送されたアニメ版を全部見ているので、ストーリーはわかっていた。実写版にするにあたって多少省略されたエピソードがあるけど、問題ではない。ドラッカーの『マネジメント』をほんとうにしっかりと読んでいるのは総合プロデュースの秋元康だとわかる。AKB48のプロジェクトを成功させて、総選挙というファン投票の仕組みまで作り上げた彼が仕掛けた一つのイベントがこの映画なのだ。そんなことをわかっていても、純粋に青春の情熱をぶつける高校生の姿を見ていると感動して泣けてきた。決勝戦に進むあたりからの盛り上がりは、なかなかの見せ所になっている。

川島みなみ役の前田敦子と北条文乃役の峰岸みなみはもちろん可愛くて頑張っていのだけど、心臓の病気で入院している夕紀役の川口春菜、ピッチャーの瀬戸康史やキャッチャーの池松壮亮、監督役の大泉洋らがしっかりとしている。ドラッカーの『マネジメント』という本も「もしドラ」も読んでいないけど、営利非営利の区別なく組織を運営するには何が大切なのか理解できるのだ。これは、ほんとうにすばらしい映画なのだと思う。

高校の野球部が何のためにあるのか(定義)、誰のためにあるのか(顧客)、マネージメントするのに必要なものは何か、改革(イノベーション)するには何をすればいいか、それらのことはすべての組織や会社・団体などに当てはまる。非営利の組織を運営するのに必要なことは、「好きになる」だ。この答えまで、この映画では見せてくれる。川島みなみが実は野球を嫌いになった理由と、その解決策まで提示する。全く、よくできた映画だと思った。

宮田夕紀(川口春菜)の幼馴染で帰宅部の川島みなみ(前田敦子)は、高校の野球部のマネージャーを引きうける。元気よくグランドに行って見ると、エースの浅野慶一郎(瀬戸康史)は全く練習をしてしないし、いっぱいいるはずの部員も練習に来ていない。監督の加地誠(大泉洋)にいたっては、なぜかやる気を見せない。小学生のときエースで4番だったみなみは、一年生のピッチャーに「あんたの球なら私でも打てる」と挑戦する。でも、高校生の男子の投げる球を女子が打てるほど現実は甘くない。

幼馴染でキャッチャーの柏木次郎(池松壮亮)から、「マネージャーをやるならマネージメントの勉強をやってから来い」と言われてしまう。本屋に向かったみなみは、なんとドラッカーの「マネジメント」という本を買ってくる。その本を読み始めたみなみは、会社経営の本だと気がつく。でも、マネジメントの基本は真摯な姿勢だという言葉を見て、本格的にその本を教科書にして野球部の改革に取り組みだす。みなみが帰宅部からほんとうの意味で脱却するのは、マネージャーに誘ってくれた夕紀を乗り越えることで可能になる。



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