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マイケル・ルイスの原作を、ベネット・ミラー監督が映画化した作品だ。オークランド・アスレチックスのGMビリー・ジーンが、貧乏球団をいかにして常勝チームに変革したかを描いている。ビル・ジェームズが提唱した野球を統計学的に分析するセイバーメトリクスという手法を用いて、今までになかった選手の獲得方法や起用法で球団を変えていく物語だ。今までにない理論や手法を導入しようとすると、既存のやり方に慣れてきたベテランスタッフは決まって反対する。それを押し切ってまで変革するのがリーダーなのだ。野球にとどまらない物語として大変に感動した。いい映画を観させてもらった。

2002年のアメリカンリーグ西地区にはシアトルマリナーズのイチロー選手がいて、少し記憶がある。いつもマリナーズと地区優勝を争ってその前に立ちはだかってきたのが、オークランド・アスレチックスだったと思った。シーズン当初は連敗が続いてうまくいかないけど、思い切った策をGMビリー・ジーン(ブラッド・ピット)が採用したので快進撃が始まる。2002年のシーズンが終わる頃には、ビリーは一部のMLB関係者に高く評価されるようになっていた。そして、ボストン・レッドソックスからの破格の誘いを受けるが「お金だけがすべてではない」と断る。男気溢れる話である。

2001年のシーズン終了で、アスレチックスはジェイソン・ジオンビらの主力選手を放出してしまう。ヤンキーズのような金持ち球団と比べると、非常に少ない合計年棒しかないチームになってしまった。アート・ハウ監督(フィリップ・シーモア・ホフマン)ら残ったスタッフは、どうすればいいのか悩んでしまう。とくにGMのビリー・ビーンとスカウトたちは、選手補強について喧々諤々の議論を戦わせる。あるチームに交渉に行ったビリーは、イェール大経済学部卒のピーター・プランド(ジョナ・ヒル)に出会い全く新しい野球の分析方法を知る。

さっそくピーターをスカウトしたビリーは、他の球団が見向きもしない選手の獲得に乗り出す。ジオンビの抜けた穴を一人で補充するのではなく、三人で補充すればいいという考えだ。優勝するのには何勝すればいいか、得点はどのくらい必要か、失点は何点以下にすればいいかなどを統計学的に分析するのだ。2002年シーズンを迎えて新戦力をそろえたが、監督や選手達に新しい考えを浸透させるのが難しい。ビリーはそのために、監督がこだわる選手をトレードで放出してしまう。そして、選手のロッカールームにも入って説得に乗り出す。

その結果、チームは20連勝というとんでもない記録を出して快進撃を続ける。実際の話では、1990年にスカウトに転身したビリーは93年からアルダーソンGMのアシスタントになる。アルダーソンGMはビル・ジェームズのセイバーメトリクスの手法を取り入れて、選手起用を行っていた。95年にオーナーが亡くなって97年からGMになる。新しいオーナーの元で徐々に成果を出していったというのがほんとうのことらしい。ピーター・プランドという人物は架空の人間だという。でも、この物語は夢のあるすばらしいお話だった。



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